2016年シーズンも焦らず毎日何かをモノにしたい

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――ファイナルQTで18位にランクインして2016年シーズンもほとんどの試合に出場できることが決まりました。まず率直な気持ちは。

 2015年のすべてから解放された! という気持ちです。

実は2015年はシーズン序盤から、QT受験を覚悟していましたし、最終戦となった大王製紙エリエールレディスオープン(11月19~22日、福島県・五浦庭園CC)は、ファイナルQTを想定してプレーをしました。

 
――ファイナルQTではドライバーをセッティングからはずしたそうですね。

 シーズン中、一番調子の悪いときは、ドライバーだけでなくすべてのクラブが真っすぐ飛ばなかったのですが、終盤に向けて少しずつ調子が戻ってきたのです。

球が曲がってしまう期間が長かったので、ずっと気持ちよくクラブが振れなかった。

そこで、短いクラブから気持ちよく振れるように練習をしていって、エリエール女子オープンの時点で3番ウッドまでは振れるようになっていたんです。

でも、ドライバーまでは間に合わなかったし、ツアーに出ていれば、コースの特徴によって、セッティングを組み替えますよね。

それぐらいの軽い気持ちで、ドライバーをセッティングからはずしたので、これほどメディア等で取りあげられるとは思っていませんでした(笑)

 QTは1位にならなくてもいいので、焦らなければ大丈夫という気持ちでプレーできたことは大きかったです。

エリエール女子オープンで予選を通過できたことで、ボギーが続いても焦らず最終日まで守ることができたのが、いい結果になりました。

 
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――2015年は本当に苦しいシーズンでした。

 正直なところ、記憶がないぐらいしんどい1年でした。

私だけでなくサポートしてくれている家族、キャディさん、トレーナーさん……。チームのみんなが苦しかったと思います。

 
――秋には左ヒジのケガもありました。

 一週間前から違和感があり、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月25~27日、宮城県・利府GC)の試合後すぐに病院で検査してもらいました。

ファイナルQTに影響してはいけないので、3週間試合を休んでクラブも握らず治療に専念しましたので、不安はありませんでしたね。

結果的にいい休養ができたと思っています。

 このときもそうですが、トレーナーさんが早くからファイナルQTに向けてどうすごしていけばいいか、体調面をどう管理して準備すればいいかと考えてくれましたので、とても感謝しています。

 
――精神的にもつらい思いをしたのではないでしょうか。

 私もプロとして、弱音を吐きたくなかったし弱い自分を認めたくない気持ちはずっとありました。

それでも、自分自身の中の見栄やプライドを捨てて、家族につらい気持ちを話せたことで救われたんです。

母や姉から「ファイナルQTで結果が出なくても終わるわけじゃない。

最下位だったとしてもステップ・アップ・ツアーで頑張ればいい。

デビューした年と同じようにステップ・アップ・ツアーで優勝してチャンスをつかめばいい」といわれて楽になりました。

 私は幼いころに兄を、プロになる少し前に父を亡くしました。

つらい別れを共有してきた母から「好きなゴルフをやって、90打とうが100打とうが、命を取られるわけじゃない。好きなことを仕事にしているのだから、そんなに悪いことばかり考えなくていいんじゃないかな」と言われたことは本当に大きかったです。

 正直にいえば、試合に出たくないと、コースに着いても車から降りるのを嫌がったときもあります。

ツアーに帯同している姉は”(ゴルフ場の)レストランに何分後待ち合わせね”とそんな私を甘やかさなかった。

サングラスに隠れていましたが、泣きながらプレーしたこともあります。

でも、そうやって、自分としっかり向き合えたことで、今、前に進めているのだと思いますし、逃げなかった自分をほめてあげたいと思います。

 
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――さて、シーズンオフです。ホッとしたところで何がしたいですか。

 沖縄でゴルフがしたいです! 

沖縄の自宅の近くにパー58ぐらいのショートコースがあるので、そこで家族でプレーしたり、最近、友達もゴルフを始めているので練習場ぐらいには一緒に行きたいですね。

 
――20代前半だとまだゴルフをやっているお友達は少ないのでは。

 友達はダイキンオーキッドレディスのときに会場に応援に来てくれて、それをきっかけにゴルフに興味を持ってくれています。

ギャラリーをしながら”周りのおじさんたち、みんな真美子のこと知ってたよ!? 真美子って有名なんだね!”とか、”真美子、普段と顔が違う!!”と感想を話してくれるのを聞くとすごくうれしいし、新鮮な反応で楽しい。

そして、ゴルフを始めた友達から、”右にしか行かないんだけどどうすればいいの?”なんて急に連絡が来たりすると、思わず笑ってしまいますし、ゴルフを始めたときを思い出すんです。

アマチュアで日本一を目指し、プロになって優勝を目指すようになってから、練習は”やらなければいけない”ことでした。

試合で勝たなきゃ、いいスコアを出さなきゃ、とゴルフを楽しむことが少なかったように思います。

 でも、2015年、調子を崩して、ゴルフと離れる機会をもったおかげで、ゴルフを始めたころのように、またゴルフを楽しいと感じることができるようになったんです。

ですから今、ゴルフを心から楽しみながらプレーしたいですね。

 
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――さて、2016年はどんな形で始動を予定していますか。

 まずは、台湾で開催される日立レディスクラシック(1月8~10日、オリエントG&CC)に出場します。ウェイ・ユンジェさんに誘っていただきました。(結果/順位:22T、スコア:+3)

その後は沖縄で調整をして、2月中旬からタイで合宿をします。

湯原信光さんから毎年誘っていただいていたのですが、(米女子ツアーの)ホンダLPGAタイランドに出場していたので、スケジュールが合わず、今年初めて参加するのです。

 
――湯原プロとは意外な組み合わせですね。

 実は中学生のころからラウンドに誘っていただいたり、お世話になっていました。

年末には契約しているブリヂストンスポーツのイベントがあったのですが、私がずっと調子が悪いのを気にかけてくださっていて、練習場で少し見ていただきました。

この話には続きがあって、打席で打っていると、倉本昌弘さん、羽川豊さん、飯合肇さんというシニアの”重鎮”の皆さんが次々に寄ってきて、私一人に先生4人のレッスン会が始まりました。あまりにもぜいたくなその状況に、さらに(宮里)聖志さんや鬼澤(信子)さんも加わってワイワイと技術論が飛び交っていたのです。

長く一線でプレーしてきたシニアの皆さんだからこその実戦で生きる技、勉強してきたスイング論、緊張する場面での経験は、今の私には得がたいものです。

 合宿には永野竜太郎さんなど、ほかの男子プロも参加されるそうなので、シーズン中はなかなか見るチャンスのない男子プロの技術も学んできたいと思います。

 
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――具体的にはどんなことに取り組みますか。

 体づくりに関しては、自分がやりたいスイングに連動した体の動きができるようにトレーニングをしっかりしたいです。

2016年はまた1試合増えましたので、現在の私に必要なトレーニングだったり、ケアだったりを、トレーナーさんと話し合って、オフの間だけでどうにかしようとするのではなく、継続していけたらと思っています。

 技術的には、ショット全般の不調はたいぶよくなってきていると思います。

ただ、完璧に戻ったといえるようになるまで、どれだけ時間がかかるかは私にも分からない。

優勝したい気持ちはもちろん忘れていません。

でもまずは優勝につなげられるように日々の練習、トレーニングの中で目標をイメージし、1つ1つのできごとで一喜一憂するのではなく、地に足をつけて焦らずにいきたいです。

調子が悪い日でも、その日に何を自分のモノとすることができたか。

それを積み重ねて自分自身の手応えにつなげることが大事だと思うのです。

 プロらしいかっこいいプレーではなく、もがき続けてばかりの私を、ずっと応援してくださったファンの皆さまには、とても感謝しています。

もう少しお待たせしてしまうかもしれませんが、絶対に”強い比嘉真美子”をお見せします。それが皆さんへの恩返しだと思っています。

 2016年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 
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取材・文/武井真子