やるべきことを続けていくことが大事

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2015年シーズンが開幕して、早いもので10試合余りを消化した。

が、比嘉真美子は昨年に続いて思うような成績を残せていない。

果たしてどんな気持ちで苦しい戦いを続けているのだろうか。今の素直な気持ちを聞いた。

 
――数字だけを見ると、苦しい戦いが続いていますが、比嘉プロご自身の感覚では”調子は悪くないのに、なんだかかみ合わないな……”という感じなのでしょうか。それとも、”調子自体が悪いので、この成績でも仕方ないな”という感じなのでしょうか。

 ゴルフを始めてからだいたい10年ぐらいになるのですが、今までゴルフをやってきた中で一番手ごたえのあるシーズンオフを送ることができたのです。

体のコンディションづくりも、技術的な部分も、開幕以来その気持ちが今もずっとあって、それがなかなかかみ合ってこないな、というのが率直な気持ちです。

 今まで、私の武器はドライバーショットだったのですが、イメージと違う球が出てしまうことが続いていて、長所が短所になってしまっているんです。

練習場ではいいのに、試合に入ってプレッシャーが加わると、思うようにティショットができない。

昨年は、本当に不調でまったくよくなかったのですが、今は”できるのにできない”という歯がゆさが大きいですね。

 ドライバー以外のアイアンショットや、ショートゲームは、今までよりも少しずつであはありますが、スキルアップしていると感じています。

 ですから、ここまでは、もどかしい気持ちだったり、いら立ちだったり、できるのにできない自分と向き合いながら戦っています。

 
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――練習と試合とのギャップは、試合の中で取り戻していかなければいけないものですよね。

 今の私が一番やらなければいけないことは、試合の本番の中で、自分のリズムだったり、気持ちだったり……、私に合ったコンディションを作り上げていくこと。

 その反面、どこかかみ合えば、ひと皮もふた皮もむけるぞ、という気持ちでいます。

 今までと比べると結果には表れていませんが、自分の中ではつかみかけているものがあるんです。

 今までは、調子がよくて勢いに乗ればいいスコアが出るという感じでした。それももちろんあるのですが、感じているモヤモヤや、体や心のゆがみがなくなるのは近いような気がしています。

 
――仕事をしている人たちは皆、調子が悪かったり、思うようにものごとが運ばなかったりすると、ふとしたときに仕事のことを考えてしまうものですよね。そういうことはありますか。

 そうですね。私もつい考えてしまいがちです。

例えば月曜日が休日だったとき、気分転換にと映画を観に行っても、見ながらもゴルフのことを考えてしまったり、今まではできていたオンとオフの切り替えができていないな……ということはあります。

 1日でも、1試合でも自分の納得したゴルフができれば、このモヤモヤは一瞬で消えるのでしょうけど、こういう時期は、一流のプレーヤーになるためには必要なことだと思うんです。

経験して乗り越えないと次のステップには進めないと思っています。

 
――先ほどは、映画鑑賞が挙げられましたが、オンとオフの切り替えのために意識的にしていることはありますか。

 家の掃除をしています。けっこう気持ちがスッキリするんです。

スーパーマーケットやホームセンターで掃除用具を買い込んで、徹底的にやります!

 あとは、東京の自宅近くの多摩川の河川敷にランニング用に整備された道があるので、そこを走ったり、小学生の野球チームの試合を見たりしています。

私も小学生のころにはゴルフだけではなく、バスケットボールも一生懸命やっていたので、楽しかったそのころの気持ちを思い出します。

 
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――先ほど、ご自身の武器はドライバーショットだとのことでしたが、沖縄出身の選手は風にぶつけるアイアンショットや、クセのある芝からのアプローチにも定評があります。そのあたりに自信はありますか。

 先輩方は皆さんそうですね(笑)。でも私は……、コレといったものが特にないなと思っています。

飛距離は出るけど、本当の勝負どころで渾身の一発が出るかといったらそうでもない。

アイアンショットもビタビタとつくかというとそうでもない……。

 自分自身が思い描いている目標が高すぎるのかもしれないですね。

 アマチュアのときから”私はこうでなければいけない”という理想を常に持っていて、試合に出たら”優勝するのは、優勝できるのは私しかいない”という強い気持ちを持ってプレーしていました。

実際にそれがうまくいって、流れに乗って毎年大きなタイトルが取れていたし、それが自信につながっていました。

プロになって最初の年はその勢いで勝てた部分もあったと思うんです。

 一年間、プロとして過ごして、いろいろなものが見えてきて、大変さも経験して、賞金ももらうようになって、生活も周りの見方も変わったり。

最初の1年で変化がすごく大きかった。

そんな中で、常に理想が高すぎるのかもしれないなと思うようになって、自分に対して多少やさしさも持つべきなのかなとも思うようになりました。

 
――自分自身の弱い部分も認めてあげられるようになったと、以前、おっしゃっていました。

 昨年の4月、フジサンケイレディスクラシックの最終日に68でラウンドして以来、1試合もといっていいほど自分で納得したプレーをしていないんです。

昨年はやはりつらかったり、イライラしている時期もあって、母や姉に初めて弱音を吐いたんです。

 そのとき、母から”もっとラクにしていいんじゃない?”って言われて、フッとラクになったんです。

そのときから”弱い自分自身も持っていていいのかな”と、自分自身で理解することが大切なんだと頭を切り換えられました。

たぶんあのとき、つらさを打ち明けられなかったら、今もっともっと苦しい状況でゴルフをしていたんじゃないかなと思って、母や姉には本当に感謝しています。

 昨年から、ずっと飼いたいと思っていた犬を実家で飼い始めました。

私と21年違いで同じ誕生日のシーズーです。

シーズンオフはトレーニングや練習の後に帰ってきてから散歩に行ったり、ずっと一緒にいたので、今すごく会いたいんです。

犬の様子が知りたいからと、以前よりも母にマメにテレビ電話をするようになったので、母も喜んでくれています(笑)。

 
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――ツアーにフル参戦するようになって3年目のシーズンです。ゴルフのスキルも相当上がったのでは。

 コースマネジメントの部分ですかね。

絶対に打ってはいけないところや、グリーンだったらはずしていいところといけないところが、見分けられるようになりました。

本当に初歩的なことではありますが、考えながらプレーできるようになったら、今までよりもすごくラクになりました。

 
――コースマネジメントを考えながらプレーするのはゴルフの楽しさの一つだと思うのですが、プレーが楽しくなったということはあるのでしょうか。

 楽しくなればいいなぁと思います(笑)。

 私が考えるゴルフの一番の魅力は”限界がない”こと。同じ状況で打つ球は二球とない。

言い換えれば毎ショット毎ショットが、初めての経験なんですよね。

そう考えると、常にエキサイティングな気持ちでゴルフという競技を楽しめるのは、魅力かなと思います。

 今まで、ゴルフだけではなく、バスケットボールや陸上競技もやっていました。

それぞれすごく楽しかったのですが、”ゴルフを仕事にしたい!”と思ったのは、その魅力にとりつかれたからかな。

 
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――復調まで、あともう少し、ですね。

 はい! 今の状況に不安もありますが、初日の1番ティに立てば、どの選手も不安は持っているはず。

焦ってもよくないと思うのでゆっくりやっていけたらと思っています。

 今季、まだまだいいプレーはできていません。

いいところも出てきたので、それが早くかみ合ってくれたらラクになれるのにな……とは思いますが、課題だったり、毎日やるべきことを続けていくことが大事なので、つらいというよりは、”とりあえず頑張ろう!”という感じです。

 母や姉、ファンの皆さま……、応援してくださっている方たちが本当にたくさんいらっしゃって、本当にありがたいなぁと思っていますし、今の私の心の支えになっています。

もちろん、皆さまも私に大きな期待を持ってくださっていると思うのですが、その誰の思いにも負けないぐらい、私自身が一番自分に期待していますし、私が一番強くなれる、と思っています。

 今までも、少なからずうまくいかないこともありましたし、その時間も短かったかもしれませんが、それを乗り越えてきたからこそ、今の私があるんです。

 今、経験していることや感じていることが、強くなるための材料だと思うので、もう少しの間、温かく見守ってください。

 
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取材・文/武井真子