第1回 比嘉真美子 オフィシャルサイトインタビュー(前編)

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 「今日ね、姉とおそろいのピアスを買ってもらったんです! どう似合います?」

桜が咲き始める頃の3月下旬の都内某ホテル。

インタビューが始まる前、比嘉真美子はいきなりそう切り出してきた。

 星が連なったピアスを見せながら、笑顔で話しかけてくるのを見ると、彼女はそれをとても気にいってるようだった。
そういえば1年前に彼女と初めて出会ったとき「星が好きなんです」と言っていたのを思い出した。

『週刊パーゴルフ』の連載ページも、彼女の要望で星のデザインを入れたのを今でも忘れない。そんなことを懐かしく思い出しながら、比嘉とのインタビューはスタートした。

――2014年度のツアーがスタートして1ヵ月が経ちました。これまでの感触はどうでしょうか? 目標はどこに置いていますか?

決して調子が悪いわけではないんです。

開幕戦のダイキンオーキッドレディスから2位に入れたことを考えても、感触はすごくいいです。

昨年2勝して、今年もやるぞ!っていう気持ちが先走っているというか、少しがんばりすぎている部分があるので、これからリラックスしてやれば、徐々に結果はついてくると思います。

今年の一つの大きな目標は、メジャー大会で勝つことです。

もちろん、勝利を重ねていくことができれば、賞金女王というのも見えてくるので、そこを目指したいという気持ちもあります。

 

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――昨年はルーキーイヤーながら2勝で注目を集めましたが、2年目は大切な1年となります。メンタル、フィジカルなどで変わってきた部分はありますか?

去年の1年間で、リズムや自分のすべきことや弱点、長所がおおまかですけれど見えてきたので、昨年のような焦りはありません。

少しずつ試合を重ねながらペースを上げていければなと考えています。

●今季の比嘉は決して調子が悪いわけではない。期待されながら迎えるシーズン2年目は独特の難しさがあるのだろうと思う。さわりの話はこれくらいにして、本題の質問を。

 

――昨年、ヤマハレディースオープン葛城でツアー初優勝をしたとき、

「今まで苦労をかけた家族を支えたい気持ちで戦ってきた」

と話していたのを記憶しています。

改めてお聞きしますが、比嘉さんにとっての親孝行とは、やはりゴルフで結果を残すことなのでしょうか?

もちろん私が結果を出すことで、家族みんなが喜んでくれるのはうれしいです。

でも、結果よりも大切なことは、私がゴルフでがんばり続ける姿を見せることだと思うんです。

今年もツアーが開幕する前、沖縄の実家にある父と兄の仏壇の前で、

「今年もがんばるから、ケガのないようにいつも見守っていてね」

って手を合わせてきました。

●比嘉真美子は小学1年のときに兄を、高校3年の11年に父・宏さんをなくした。
姉・久美子を含めた3人兄妹の末っ子。
昨年の初優勝のとき涙を見せることはなかった。

女子の選手の中にはプレー中、その状況によって喜怒哀楽を表情に出す人もいるが、そうでない人もいる。

比嘉はどちらかといえば、後者にあたるかもしれない。

そんな比嘉が辛い幼少期を送ってきたことなど、ほとんどの人は知るよしもない。

 

――去年から母・彰子さんと姉・久美子さんがツアーに帯同していますが、やはり精神的な面で楽になっていますか?

そうですね。すごく楽になりました。

緊張が張り詰めたツアーを連戦するとすごく疲れるのですが、気を抜ける場所があるのはすごくありがたいです。

怒ったり喜んだり、そういう感情を出せるところがあるのは幸せです。

思っていることをストレートに着飾らずに表現できるのは、やっぱり家族しかいません。
常にフレッシュな状態でいられるきっかけになっています。

もし家族が側にいなかったらって考えたら、すごくきつかったんだろうなと思います。

 

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――これまで以上に母と話す機会が増えたと思いますが、これまでとは違う新しい発見やエピソードはありますか?

去年まで母は私に

「ゴルフの調子どう?」、
「なんで今日は悪かったの?」
「なんであそこであんな球が出たの?」とか、

そんなことを繰り返し聞いてきました。

昨年はそんな会話ばかりで、苛立った時期もあったんです。

私もいつまでも子どもじゃないんだから、ジュニア時代の扱いはやめてプロとして認めてよ!

って対立したこともありました(笑)

 

――今年、成人になりましたからね。もう子どもじゃないと。

ええ、そうなんです。

でも、私も母もツアーで1年間戦うことで、互いに成長しているんだろうなと感じることが多くなりました。

母の変化はすごく感じることが多くて、今では私の調子が悪くても

「体調が悪いの?」、
「体に気をつけて」とか、

そういった言葉が多くなりました。

気持ちにゆとりが出てきているのかな? 

今までかけられる言葉とは明らかに違うんです(笑)。

私も母も去年はいっぱいいっぱいだったので、互いに成長しているんだろうなと思います。

●ただ、母との口げんかや対立も今では比嘉にとってはいい思い出だ。
自分の思いをぶつけられる母が側にいて、それを全身で受け止めてくれる。
ツアーにいなくてはならない、かけがえのない存在。
だからこそ比嘉は母のことを偉大だと思う。
母のような女性になりたいと思う。

 

――改めて母はどういう存在ですか?

本当に強いと思います。
母のような女性になりたいって思いますね。

強いし優しいし、明るい。そして誰に対しても優しさを惜しまないように見えます。

逆に優しさを惜しまないことが悪く見えるくらいです。

(後編に続く)

取材・文/金明昱